エイブのキッチンストーリー

先日、久しぶりに映画を観てきました。
今年に入って初めてだったのでワクワクです♪

観てきた映画は「エイブのキッチンストーリー

ブルックリン生まれのエイブは、イスラエル系の母とパレスチナ系の父を持つ。文化や宗教の違いから対立する家族に悩まされるなか、料理を作ることが唯一の心の拠りどころだった。誰からも理解されないと感じていたある日、世界各地の味を掛け合わせて「フュージョン料理」を作るブラジル人シェフのチコと出会う。フュージョン料理を自身の複雑な背景と重ね合わせたエイブは、自分にしか作れない料理で家族を一つにしようと決意する。果たしてエイブは、家族の絆を取り戻すことができるのかー?

https://abe-movie.jp/ (エイブのキッチンストーリー公式サイト)

といったストーリー。

YouTuberであり、新聞や雑誌の記者でもあるという監督の作品からは、デジタルネイティブ世代の培われた感覚が垣間見えて個性あふれる面白い映画でした。
独特の間合いやカットは、「ザッツ・エンターテイメント」「ザ・ハリウッド」とはかけ離れていますが新しい映画の表現として楽しめます。

伝えたいこともシンプルで明確。
いろんなことが多様化し、個人の自由を尊重することによって経た不自由な世の中の弊害が皮肉られているようでもありました。

そんな自由なようで不自由な現代社会の中でどう生きていくか。
自分とは? 家族とは?

といったような自分のルーツ、家族を再確認する内容です。
宗教や家族の価値観に対する時代の変化を織り交ぜつつも、抜け出せない古くからの風習や知らずしらずに自分自身に身についた考え方(固定概念)との対比もなんとなくシニカルです。
といっても説教地味た節はなく、あくまでもあっさりと現代風に描かれています。
ドタバタ劇というか漫画的な展開でリアリティにはかけるけれども、随所で妙に現実くささを感じて考えさせられることもありました。

印象的なのは、主人公エイブという少年が「料理することが大好き」っていのうがすごく表現されていて見ていてこちらまで楽しくさせられたことでしょうか。
料理映画というよりはヒューマンドラマ色が強いので、もう少し料理修行的な場面も欲しかったかなぁ。というところも個人的にはありますが、とにかくエイブが純真で健気で見ているだけで癒されます。

話の流れでエイブは料理を教えてもらうことになるんですけど、その料理人がエイブが作った料理を食べもしないまま意見する場面があるのですが、すごく共感がもてました。
多国籍料理、創作料理を主に作っている料理人ですが、なんでも混ぜればいいもんじゃないってところがすごくいい。
料理は融合させるのであって、乱雑に混ぜ合わせるだけではないってね。
私は昔人間なので、最近の料理のコンフュージョンぶりにはまあまあ困惑していただけに激しく同感しました。

そして世の中や考え方の多様化というのは、フュージョンであって、コンフュージョンであってはならないってことも含まれているような気がしました。

去年の11月公開の映画で、今ではほとんど劇場で公開されていませんが、3月20日に配信されたり、5月にはBDやDVDが発売されますから、興味のある方は観てみてください。優しい気持ちになれますよ~

ラルーンドエスト