THE FIRST SLAM DUNK
最後の試合は沖縄代表北谷中学校に負けて終わった。
三連覇がかかった全国大会。試合終了後の体育館裏、部全員でそれまでの全ての応援手拍子を一緒にして、泣きながら終わった。
まぁ、正直「やっと解放されっぜ」感の方が優って、泣けんかったのはここだけの話しだ。
それ程にキツい練習量だった。漫画の吹き出しに疲れた時の呼吸音?
「ゼーッ、ゼーーッ!!」
って書かれる事があるんだけど、実際に自分の喉から全くそのままの音がした時に、苦しさと辛さと同時に漫画みてぇだなぁと可笑しくなった。
朝練、昼練、夕練とほぼ365日ボールに触らない日は無かった位、バスケ漬けの3年間だった。別に最初から好きだった訳でも無く、ただ10歳辺りから急激に身長が伸び、小学6年生で既に178cm位になっていたので陶芸部から無理矢理ミニバスに放り込まれた格好だった。その後ほぼ身長は伸びてない。いやむしろ縮んでるかも(笑)
その流れでなんとなく中学校もバスケ部に。色気づく頃なので主人公の花道と同じように「女の子に格好つけたかったから」って理由もかなりある。小学1年生の時に初めて好きになった女の子にエエ格好したかっただけだったかも?
でもやっぱり続けるうちに「(バスケが)大好きです。今度は嘘じゃ無いっす」に(笑)1号の回想より
そんな経験からか「スラムダンク」は連載開始から毎週楽しみに本誌連載を追い掛けていました。
インターハイ予選辺りから、それまでのちょっとしたヤンキー漫画臭が薄まり、ガチなバスケ漫画になった頃から本当に面白くって夢中になっていた記憶があります。
山王戦の数ページに渡る無音の決着描写から流川と花道のハイ?タッチシーンへの流れは、今思い出しても、今読み返してみても、鳥肌もので漫画史に残る屈指の名シーンかなと。
読者人気も絶頂で、誰もがこの後の展開に期待していたのに、そこで連載は突然終わり。
作者も作中の湘北高校と同じで全てを出し尽くしたんだと思います。
その時に描けるバスケット漫画はそこまでだったのでしょう。
最後のページ「天才ですから」の締め方に傑作&名作確定を深く心に留めました。
作者もそんな天才ですから、当然次作なども楽しみでずっと追い掛け続けてbuzzer beater、バガボンド、リアルと立て続けに素晴らしい作品を描き続ける姿に僕の中では数少ない本物の漫画家の一人に数えられる作家さんになっていきましたね。
ですが近年バガボンドも結べず、リアルも続きが描けず漫画家としてはもしかしたらもう終わりなのでは?と勝手に思っていたんですよね。
何となくアーティスティックな活動家になっていくのかなぁと。
なので今回のブログの主題THE FIRST SLAMDUNK の映画の話しが聞こえてきた時には
「あぁ、大昔のコンテンツ掘り返して小銭稼ぎすんのかなぁ」
って漠然と今思えば限りなく失礼な事を考えていたりしました。
さて、ここからが本題で映画THE FIRST SLAMDUNKの話。
(前置きが長過ぎるな、本題も長いでw)
「試写も無い」「内容も知らされない」「チケット予約開始後に声優総入れ替え発表」で紛糾と異例尽くしの展開の上、先の失礼な考えを補強してしまい、観なくても良いかなぁって思ってたんですよね。
ですが初日に聞こえて来る絶賛の嵐に「お?そうなん?そんなに?」って事で急遽買い物がてら夫婦二人でIMAXにて鑑賞に。
ネタバレ的内容はあまり細かく言えない所があるので避けますが「小銭稼ぎなんじゃ?」って思ってた自分をブン殴ってやりたい位、恐ろしい程に素晴らしい作品に仕上がっておりました。
井上先生!疑ってゴメンなさい×100な感じ。
オープニングのとある演出とともに、キャラクタ紹介がThe Birthdayの格好良いロックと共に流れ、そのまま試合映像に繋がるんですが、もうその最初の数分の為にお金払っても良いよって位に痺れました。
CGアニメ特有のヌルっとした絵面も動きの有る絵だとほぼ気にならず、恐らく要所要所描き込まれたりしてるんじゃないのかなぁって自然さで、ここまで出来るのかと感心しきり。
124分が体感小1時間程度にしか思えず、ラスト数分はホントに「試合会場に映画館の観客全員が座ってんじゃないのか?」って錯覚を覚える位に手に汗を握ってしまいます。
既に3回目の鑑賞後にこれを書いてますが、3回目も全く同じで興奮と面白さが感じられました。4回目いつ行こうか悩んでます(笑)
鑑賞と言うよりは観戦って書き方の方がしっくりくるのかも。
物語もしっかりあって充分に鑑賞なんですけど、同時に観戦もしてる感じ。
物凄く言い表し難い感情なので、劇場で観てもらえれば一番分かり易いんだけども。
あまりの作品の熱量に初回の鑑賞終了時には圧倒されて暫く立ち上がれない感じでした。
名画の前に立ち尽くし言いようの無い迫力にはらはらと溢れる涙に近い感情なのかなぁと思ったりもするな。言い過ぎか。
劇団四季のライオンキングを最初に観た時と近しい感じかなぁ。
数限りなくアニメは見てきたつもりですが、この景色と世界は初めて見ます。
それまでのものとは明らかに一線を画す別世界でした。
こんな事が可能なら他でも出来るのか?と観客としては安易に期待してしまうのだけど、メイキングの話しを見る限りとんでもない労力と奇跡的着地点なのかもしれず、続編The Secondを望むのは野暮なのかな。
とは思いつつ期待せずにはいられない出来でした。
漫画は漫画、アニメはアニメと別物だと言う認識が崩れた事は無かったし、今も辛うじて崩れて居ないのですが、この奇跡の映像作品に触れて、その境界が少しあやふやになってしまいました。
それ程に井上雄彦先生の漫画がそのまま動いている感が強くて「全部描いたのか?」なんて、そんな訳は無いのに錯覚してしまう。
全てを隠したプロモーションはこの別次元の完成度に裏打ちされた確信的なものだったのだと今では思いますね。
そりゃ隠すわ、これは。だって驚かざるをえないクオリティだもの。
どんな分野でも原理主義者は居てるんでその辺りの話しは置いておいて、これは何をさて置き一度映画館で体験してみて欲しい作品です。
ハードル上げまくっても大丈夫。後悔はさせませんぜ。
もうひとつ言えるのは全くスラムダンクに触れた事がない人でもかなり楽しめる作りになっていると思います。
THE FIRSTには初めて触れる人に向けてって意味もあるんじゃないかな?
映画を観て原作に興味が出たら漫画も手に取ってみても良いし。
ちなみにスラムダンクは電子書籍にはありません。
作者が許可していないんですよね。
読むと分かるんですが、ここ!って時には見開き2ページの大コマでバシっと決まった絵を描くので、1枚づつ読む事が多い電子書籍では魅力が下がっちゃうんですよね。
あ、もちろんお店にも昔の単行本と完全版の2種類が置いてますので読みにいらしてくださいね♪
・・・と今思う事をつらつらと書き出してみました。
こんな阿保みたいな長文をもし読み切った人はおじさんとの約束だ!
映画館に観に行こうゼ♪( ´▽`)
writen by 1号